東京高等裁判所 昭和24年(新を)3547号 判決
被告人
佐藤ハナ
主文
本件控訴はこれを棄却する。
理由
前略。
論旨第一点について。
原判決判示の事実は、その挙示証拠に徴してこれを肯認することができる。被告人方田畑の耕作名義人が夫幸三郎であり昭和二十三年度の麦類供出者も夫幸三郎であつたとしても、これをもつて所論のように夫幸三郎だけが「法律上の生産者」であつて被告人は妻として夫の業務に助力するに過ぎない者、と推断するのは旧時代の思想を脱却しない誤つた見解と言わなければならない。原判決には所論のような事実の誤認又は法令の違背は存しない。論旨は理由がない。